新沼由香里
ヤマノイユカリ
まず印象的なのは、上品なツヤとハリ。とても素直な糸で丁寧に編めばそれに応えてくれるように感じました。日々、作業をしていく中で、どうしても急いでしまったり、集中力を欠きながら作業してしまうことがありますが、一針一針、丁寧に編む事が大切なんだ
よ。と糸に教わったような感覚があります。
玉留めの作業ではカチッと留まってくれ、織り込む作業ではしっかりと形を保ってくれる。強く引いても、伸びすぎず絡まりづらい。ヨリがかかりすぎてしまう事もほぼ無く、ほつれてしまう事もありませんでした。
他の糸ですと、長く糸を取ると、織り込む作業の際何度も何度も糸の間を行ったりきたりするので、糸が擦れ段々と繊維がボロボロになっていってしまうのですが、ワイルドシルク糸はそれが無く、長く糸を取ってもボロボロになりませんでした。本当に繊維一本一本が強いのだと感じ、びっくりしました。
慣れるまで少し苦労したのは糸を割ってしまう事。ニャンドゥティでは織り込む作業の際に糸を割ってしまうと、後々形を整えることが難しく、とにかく糸を割らないようにするのですが、
細かい繊維が出ているところがあるので、そこだけは気をつけながら編まないといけないな。と感じました。
ニャンドゥティは、抜け感があるモチーフも美しいですが、ワイルドシルク糸ですと、キチッと編み込んだ方が、より艶感がでて素敵でした。1本取りですと、細くヨリがないので、荒く編んでいくとどうしても平面的で単調になってしまうように感じましたが、枠付
きのモチーフはあえて1本取りで製作し、できるだけ細かく編んでいくことで、繊細さ、艶感、質感もプラスできたかな。と思っています。こんなに細かく編んだのは私も初めてで、ニャンドゥティの新しい顔を見ました!2本取りの方が艶感や質感が出やすいように感
じたので、荒く編んだり、大柄やアクセサリーを作るには2本取りが良いかもしれません。
最後に水で薄めたボンドで固めていく際も、艶感がなくなってしまうのでは。と不安だったのですが、そんな事もなく、思い描いたように艶感、質感を保ったまま固まってくれました。本当は、お天気の良い時に太陽の光でパリッと乾かしたいのですが、ボンドの
乾きがあまい時、ドライヤーで乾かしたりする事があるので、試しに恐る恐るドライヤーを当ててみましたが、特に糸に変化はありませんでした。
最後になりますが、ワイルドシルク糸を使ってみて、糸に意志があるのではと思う位、心が動かされる糸でした。心地よい緊張感と、焦る気持ちをフワッと包み込んでくれるようなとても優しく、力強い糸だと感じました。